かつての私は「メジャー」に憧れていた。みんなが観る映画を観て、流行りの服を着て、人気のカフェでパンケーキを食べる。でも、あまり楽しくなかった。人混みにいると頭が痛くなるし、流行はすぐ終わるし、パンケーキは甘すぎた。
自分にはどうも「ニッチ」なもの方が心地いいということは感じていた。
「ニッチ」は一般には、「普通には気づきにくいところ。」また、市場では「大企業が進出しない小規模な分野。」とい意味で使われる言葉だ。
先日SNSで、「廃線跡の錆びた看板だけを撮る写真家」の投稿を見つけた。誰が見るんだと思いつつ、気づけば30分以上スクロールしていた。
そこには、不思議な魅力があった。狭い、でも深い。少ない、でも濃い。
ニッチとはつまり、「この路地の先に、私の世界がある」という生き方だ。
「隙間市場」と呼ばれる小さな需要。マニアックすぎて商売にならないと思いきや、同好の士が全国に100人いれば、十分に成り立つ。むしろ「誰にでもウケる」より、「たった数人にドハマり」の方が、感謝される率は高い。
類義語の「特化」や「局所的」も、実は心地いい。
広く浅くより、狭く深く。なんでもできるより、「あの人と言えば、アレだよね」と言われる方が、何倍も幸福度が高い気がする。
華やかな世界は、私には光が強すぎてちょっとまぶしい。
でも、ニッチな路地裏には、風通しのいい静けさと、独特の熱がある。
私たちは、そこに小さな旗を立てて、「ここが私の居場所です」と言えばいいのだ。
そして時々、誰かがその旗を見つけて、「私も」と言ってくれる。
それだけで、十分だ。

沢田国語研究所
●事業内容
・国語専門塾(対面・オンライン)
・俳句や短歌の創作および普及活動
・本に関するイベント
●代表

沢田隆志
大阪市出身
開明高校→横浜国立大学経済学部卒
大手自動車メーカーで経理として勤務。
神奈川県で教育委員会に勤務。その後、
須賀川市の梁取塾で主に中学生を指導。
俳句や短歌を中心に文学を楽しむ。
・須賀川短歌会主催
「第1回みんなで選ぶフォト短歌展」最多得票
・須賀川地域の地方紙
「あぶくま時報」火曜コラム執筆中
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