中学の国語の問題で使われていた「無粋」(ぶすい)という言葉が妙に引っかかって、改めて調べた。「世態・人情、特に男女の間の微妙な情のやりとりに通じていないこと。また、そのさま。遊びのわからないさま、面白味のないさまなどにもいう。」
「粋でない、カッコよくはない」程度の意味と思っていたが、もっとひどい意味ではないか。そして、次に考えたのは、自分はすごく無粋な人間ではないかということだ。
間接照明の良さは分からないし、キャンドルを買いたいと言った妻に「意味が分からない。災害の時以外に、いつ使うのだ。」という趣旨の返事をした。
たぶん私のような人を、昔の日本人は「無粋」と呼んだ。
風流を解さず、場の空気を読まず、情趣に欠ける。
無粋の類義語には、「野暮(やぼ)」や「興ざめ」「味気ない」などがある。どれも、人の心にじわりと水を差す系の性質を持つ。
たとえば、夜桜の下で「花より団子」を本気で選ぶタイプ。映画の感想を語る隣で、「あれって制作費いくらなんだろ」とつぶやく人。無意識のうちに風情をジャマするプロだ。
ただ、私のような無粋な人を完全否定しないでほしい。キャンドルを欲しがった妻に言った私の言葉にも悪意はない。ただ、情緒という概念がインストールされていない。それだけだ。
先日、実際にキャンドルを灯すと綺麗だと思った。香りもついているなんて少し感激した。
無粋な人間にも、詩心の芽は眠っている。それを起こすのは、周りの人の優しさとユーモアとちょっとの経験である。

沢田国語研究所
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●代表

沢田隆志
大阪市出身
開明高校→横浜国立大学経済学部卒
大手自動車メーカーで経理として勤務。
神奈川県で教育委員会に勤務。その後、
須賀川市の梁取塾で主に中学生を指導。
俳句や短歌を中心に文学を楽しむ。
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「第1回みんなで選ぶフォト短歌展」最多得票
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「あぶくま時報」火曜コラム執筆中
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